潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎について2023-12-26T15:09:46+09:00

炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患とは?

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)とは、主として腸などの消化管の粘膜で炎症が起こる病気です。
一般的には、下記にてご説明する潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の総称です。
IBDは原因不明の病気で、国から難病に指定されています。

ほとんどの場合は一般的な治療で治すことができます。しかし 良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、寛解期(調子が良い時)になれば継続的に治療を受けながら日常生活を送ることが可能です。

潰瘍性大腸炎(UC)

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)とは、大腸の粘膜で炎症・潰瘍が起こる病気です。
主に大腸で病気が現れますが、腸以外の他の部位に病気が生じることもあります。
今のところ原因はわかっておらず、国から難病に指定されていますが、適切な治療を受けて症状がコントロールできれば、健康な方とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。

症状は腹痛、血便・下血、下痢などですが、そのほかにも発熱、倦怠感、体重減少、貧血などの症状がみられることもあります。
10~30代の若い世代に多くみられる病気で、現在、患者数は増加傾向にあります。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の主な症状

腹痛|血便(軟血便)|下血|下痢|発熱|倦怠感|体重減少|貧血 など

潰瘍性大腸炎の腸内

潰瘍性大腸炎の初期症状

    1. 痛み方はさまざまですがお腹が痛みます。
    2. 便がゆるくなり、下痢になります。
    3. 程度は様々ですが、便に血液が混じります。(こちらの症状が出ている方は、一度検査をおすすめします)
    4. 便のかわりに白い膿がでることもあります。
    5. ひどくなると朝トイレにこもりっきりになったり、夜間 大便、腹痛のために目が覚めることがあります。

潰瘍性大腸炎の活動期と寛解期

潰瘍性大腸炎は“活動期”と“寛解期”に分けられ、活動期とは症状が強く現れる時期、寛解期とは症状が治まっている時期のことを言います。
多くの場合、継続的に治療を受ければ寛解期を維持することが可能ですが、患者様によっては寛解期から活動期へ再燃して、活動期と寛解期を繰り返す場合があります。

潰瘍性大腸炎の合併症

潰瘍性大腸炎が進行して激しい炎症が続いたり、炎症が腸管壁の奥まで進んだりすると、腸管や腸管外などで合併症が起こる場合があります。

腸管合併症として、炎症が悪化することで起こる大量出血や大腸穿孔(大腸の壁に穴が開くこと)、炎症が長く続くことで起こる大腸狭窄(大腸の腸管が狭くなること)などがあり、また腸内にガスや毒素が溜まって大腸が膨れて、全身で発熱や頻脈などの症状が現れる中毒性巨大結腸症が起こることもあります。また潰瘍性大腸炎になり病状がうまくコントロールできない期間が長く続いた患者様の中には大腸癌が発生することがあります

大腸以外の臓器でおこる腸管外合併症として、関節炎、皮膚の病気(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)、尿路結石、胆石、肝胆道系疾患 目の病気(虹彩炎など)などがあります。

潰瘍性大腸炎の検査方法

石田消化器IBDクリニックでは潰瘍性大腸炎に対して次のような検査を実施しています。
各種検査を実施した後、病状をよく把握したうえで最適な治療方法をご提案いたします。

採血検査

炎症の程度、貧血の有無、栄養状態など、採取した血液から全身状態を確認します。

便検査

主に他の病気(感染性腸炎など)によって炎症が起こっていないか確認するために実施します(便培養)。
また大腸に潰瘍が残っているかいないかを判定する検査(便潜血検査)や、潰瘍の程度(重いか軽いか)を判定する検査(便カルプロテクチン)にあります。

内視鏡検査

潰瘍性大腸炎の診断、病気の範囲、炎症の程度を把握し、治療計画をたてるために内視鏡検査を実施します。
当クリニックでは胃カメラ、大腸カメラ、小腸カプセル内視鏡、大腸カプセル内視鏡などの検査が受けられます。

腹部エコー検査

腹部に超音波をあてて、反射してくる音を受信し画像化して、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓、小腸、大腸など体内の臓器の状態を確認します。
お体への負担がなく苦痛をともなわない検査で、リアルタイムで腸の状態などを確認することができます。

CT検査

腸管の状態や合併症の有無などを確認するために、CT検査を実施する場合があります。
※CT検査は他院にて実施いたします

潰瘍性大腸炎の治療方法

潰瘍性大腸炎の治療方法として薬物療法、白血球除去療法、手術(外科的治療)などがあり、病気の状態に応じて適切な方法を選択いたします。

薬物療法

5-ASA製剤

潰瘍性大腸炎治療の基本薬で腸の炎症を鎮めますが経口薬、坐薬、注腸剤などのいろいろな剤型があります。
潰瘍性大腸炎の程度範囲によって使い分けます。寛解期を維持するために使用するケースもあります。

ステロイド

炎症抑制作用が強いため、活動期の炎症を鎮めて寛解期へ導入する効果に優れています。
寛解の維持には使用しません。服用は短期間です。服用しても必ず中止します。

免疫調整薬

潰瘍性大腸炎の原因ははっきりわかっていませんが、過剰な免疫反応が関係していると考えられているため、免疫調整薬を使って免疫反応を抑えます。
主として寛解維持に使用しますが最近(2018)寛解導入にも維持にも使用できる内服薬が登場しました。

生物学的製剤

炎症を引き起こす体内物質の作用を抑制します。
ステロイドや免疫調整薬と比べて副作用が少なく、それでいて高い効果が期待できる治療方法です。静脈注射や皮下注射で使用します。

白血球除去療法

安全性が高く、副作用の少ない治療方法で、腕の静脈から血液を体外へ取り出し、特殊な装置に炎症に関わる血液成分を除去した後、体内へ血液を戻します。
1回の治療に約1時間程度かかかり週1,2回で5~10回繰り返します。

手術(外科的治療)

多くの場合は内科的な治療で症状改善が可能ですが、重症で大量に出血した場合、腸に穴が開いた時や大腸癌が出た場合、入退院を繰り返して通常の生活が送れない時などには手術で大腸を切除することがあります。

潰瘍性大腸炎の予後

基本的にはお薬の治療ですが、原因不明の慢性疾患ですので、治療の継続が必要です。調子がよい時期でもお薬を飲んだり注射をすることが必要です。
潰瘍性大腸炎の患者様の約75%は、飲み薬だけで調子がよくなり日常生活に特に差し支えありません。

残念ながら4人に1人は治療が難航し入退院を繰り返すような状況になることがあります。お薬の治療がどうしてもうまくいかない場合は、手術でなおすこともあります。
手術をして大腸の大部分切除し肛門とつなげば、潰瘍性大腸炎はほぼ完治となります。但しつないだ周辺から再燃(回腸嚢炎)する場合があります。夜間に大便に行きたくなり、生活の質が低下することもあります。

症状が悪化した場合、全部大腸を切除して人工肛門にすると潰瘍性大腸炎は完治しますが、人工肛門にしたことによる不自由さがでてきます。また、病気の治療が難航すると癌がでることがあります。

潰瘍性大腸炎の治療費について

潰瘍性大腸炎の治療費は、医療保険が適用されます。
病状が中等症以上のかたは難病支援制度による公的な援助があり、これを利用すると所得に応じて月に一定額以上かからないようになっています。

潰瘍性大腸炎の早期発見・治療のメリット

潰瘍性大腸炎は放置しておくと病気が進行して、病状が排便の回数が増える軽症から、排便のために夜間目覚め、便に混じる血液量が増える中等症、腹痛がひどくなり、熱が出る重症と悪化していきます。

症状が軽いうち(軽症)の時に治療をしたほうが使用するお薬の種類が少なく、またより副作用の少ないお薬で治療できます。潰瘍性大腸炎は再燃を繰り返す病気ですが、軽症のうちに治療を開始した患者さんは再燃が少なく病状が比較的安定しています。

排便の不調が続くときには、早めの受診をおすすめ致します。

潰瘍性大腸炎のよくあるご質問

潰瘍性大腸炎とはどんな病気ですか?2020-12-03T13:35:30+09:00

大腸の粘膜で炎症・潰瘍が起こる病気で、国の指定難病となっています。
はっきりとした原因はわかっていませんが、適切な治療を受けて症状がコントロールできれば、健康な方とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。

潰瘍性大腸炎ではどんな症状が起こりますか?2020-12-03T13:36:14+09:00

主な症状は腹痛、血便・下血、下痢などで、ほかに発熱、倦怠感、体重減少、貧血などが起こることがあります。

潰瘍性大腸炎の発症年齢は?2020-12-03T13:37:00+09:00

10~30代など、若い世代に多い病気とされています。
ただし、近年では小児や50歳以上の方にみられるケースもあります

潰瘍性大腸炎が遺伝することはありますか?2020-12-03T13:38:25+09:00

絶対にないとは言えませんが、遺伝の可能性は極めて低いですので、過度にご心配いただく必要はないと言えます。

症状が安定しているのですが、いつまで治療は必要ですか?2020-12-03T13:39:16+09:00

患者様の中には、長年、寛解期(症状が治まっている時期)にあってもある時再燃して活動期(症状が強く現れる時期)に入る方もおられます。
症状が安定していても“いつまで治療が必要”という目安がないのが現状ですので、自己判断で服薬を中止したりせず、必ず主治医にご相談ください。

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