2020/7/27 Takeda Expert Web Conference in IBD
潰瘍性大腸炎関連腫瘍の診断と治療 最近のトピックス
岩手医科大学 内科学講座 消化器内科消化管分野 教授 松本 主之 先生講演
松本先生は炎症性腸疾患の診断から治療まで何でもござれのオールマイティーのすごい先生ですが今回は潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌について講演してくれました。健康な方でも年齢と共に大腸癌は発生しやすくなってきますが 以前は潰瘍性大腸炎の患者さんは発症して20年経ると 健康な方の4倍ぐらい発癌するとされてきました。最近の研究ではそこまで頻度は高くないとのことですが そうとは言え健康な方より発がんリスクはやはり高いようです。特に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で検査した時に 狭窄 短縮 ポリープの増生などが発がんのリスクになるようです。日本の学会の勧めでは これまでは潰瘍性大腸炎になって7年以上経過したら癌ができているかもしれないので毎年大腸カメラで検査しましょうとされていました。最近の考えでは 家族歴、病気の経過、炎症の範囲、炎症所見などのリスクに応じてカメラを行う頻度を決めるとよいようです。しかし長くても3年毎にはカメラをすべきです。また癌の早期発見が目的(サーベイランス)でカメラをするときはできるだけ症状の落ち着いている寛解期に行うことが大切で 検査のさいには色素をまくと発見しやすくなります。サーベイランスのカメラを毎年するかしないかは前述の 家族歴、病気の経過、炎症の範囲、炎症所見などで変わってきますのでよく主治医と相談するとよいでしょう。何より大切なのは治療とその継続で 下痢 腹痛 下血などの症状がない状態:寛解期を続けることが大腸癌の予防と早期発見に最も役立ちます。