炎症性腸疾患(IBD)の医療費の助成

炎症性腸疾患(IBD)には医療費が助成されます

国が指定する難病である潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性腸疾患:IBD)にかかっている方のうち、一定以上の病状の方は医療費助成を受けることができます。
医療費助成が認められると、医療費の自己負担額は2割となり、外来・入院にかかわらず世帯の所得に応じて1ヶ月の自己負担額に上限が設けられます。

医療費助成が認められるための病状の程度ですが、潰瘍性大腸炎では下記の“潰瘍性大腸炎の臨床的重症度”に照らし合わせた時に中等症以上、クローン病では“IOIBDスコア”が原則2点以上の時に医療費助成の対象となります。

潰瘍性大腸炎の臨床的重症度

中等症以上の場合に医療費助成の対象となります。

  • 重症…下記1と2のほか、3または4のいずれかにあてはまり、さらに6項目のうち4項目以上にあてはまる
  • 軽症…下記6項目すべてにあてはまる
重症 中等症 軽症
1 排便回数 6回以上 中間 4回以下
2 顕血便 (+++) 中間 +)~(-)
3 発熱 37.5℃以上 中間 37.5℃以上の発熱がない
4 頻脈 90/分以上 中間 90/分以上の頻脈がない
5 貧血 10g/dL以下 中間 10g/dL以下の貧血がない
6 赤沈(赤血球沈降速度) 30mm/h以上 中間 正常

IOIBDスコア

下記の1項目あたり1点として、原則2点以上の場合に医療費助成の対象となります。

腹痛
1日6回以上の下痢または粘血便
肛門部病変
瘻孔(腸と腸、また他の臓器・皮膚と繋がった状態)
その他の合併症
腹部腫瘤(腹部にこぶのような異物がある)
体重減少
38℃以上の発熱
腹部圧痛(腹部を押すと痛む)
10g/dL以下のヘモグロビン(貧血)

医療費助成の申請方法

保健所などの窓口に申請します

医療費助成の支給の申請は、居住地の保健所などの窓口で行います。
窓口では申請書、診断書、住民票などの書類が必要になります。

申請の際に必要となる書類

  • 申請書
  • 診断書(臨床調査個人票)
  • 住民票(申請者、また保険証の写しなどを確認する必要がある構成員が全員含まれている住民票)
  • 世帯の所得が確認できる書類
  • 保険証(写しなど:被保険者証、被扶養者証、組合員証などの医療保険の加入関係を示すもの)
  • 医療保険の所得区分確認書類
  • その他、必要に応じて提出が必要な書類(人工呼吸器等装着者であることを証明する書類 世帯内に他に特定医療費、または小児慢性特定疾病医療費の受給者がいることを証明する書類、医療費について確認できる書類など)

医療費助成の期間について

申請から交付までの期間

自治体によっても異なりますが、医療費助成は申請から交付まで3ヶ月から半年程度かかります。
なお、医療費助成の対象となるのは、申請日以降に指定医療機関を受診した際の医療費で、申請日以前の医療費、また指定医療機関以外での医療費は対象となりません。

※ただし、緊急その他やむを得ない場合(旅行中の緊急受診など)には、指定医療機関以外での医療費も対象となります

有効期間は原則1年

医療費助成が認められた後、有効期間は原則1年となりますので、継続して助成を受けるためには毎年の更新が必要になります。