2020/7/29 LRG インターネットライブセミナー

保険収載された新規炎症性腸疾患の血清活動性マーカーLRGについて

高知大学医学部 臨床免疫学講座 教授 仲 哲治先生 講演

 

今日の講演は 採血で診断できる新しいマーカー:LRGについてです。

潰瘍性大腸炎やクローン病がどれほど悪いかを判断する血液中のマーカー(採血検査で判定できるもの)はこれまでCRPでした。しかしCRPはかぜをひいても上昇するので判定に注意が必要です。またCRPはクローン病には有用ですが潰瘍性大腸炎ではあまり役に立ちません。潰瘍性大腸炎の病状のマーカーは便のカルプロテクチンが現在 臨床で使用できます。しかしカルプロテクチンは便の採取が必要なため一般的にはちょっと使用し辛いマーカーです。潰瘍性大腸炎においてLRGは内視鏡検査の重症度と比例することが確認されています。このことは採血でLRGを測定すれば大腸カメラをしなくても粘膜がどの程度荒れているかが判るということです。特に病気の状態の判定が難しい直腸の病変にも使用可能です。クローン病においては 約80%の患者さんに小腸の潰瘍などの病変があるのですが小腸は粘膜の状態の把握が難しい臓器です。特殊な小腸内視鏡では狭窄があると全部観察できませんし また多くの場合、口とお尻から2回挿入することが必要です。小腸カプセル内視鏡は1回の検査ですみますが狭窄があると施行することができません(狭窄に引っ掛かり小腸の中に残ってしまうため)。MRエンテログラフィは特に専門施設でしか施行できません。しかしCRPが上昇していなくても小腸の潰瘍が治っていないことはしばしば経験されます。その点LRGはクローン病の小腸の炎症の程度を採血で判定することができます。LRGは治療開始前に測定して治療後も継続して定期的に測定し 低下がなければ治療が効いていないと考え治療変更の判定基準にするのがよい使用法です。今後当クリニックでも治療判定の参考にしようと思います。