2021/1/15 Ulcerative Colitis Web Seminar

UC治療を病態から考える

-Precision Medicineを目指して-

東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科教授 松岡 克善先生 講演

 

東邦大学佐倉病院の松岡先生がステラーラと潰瘍性大腸炎(UC)治療のことをまとめてくれました。ステロイド治療の大原則は①充分量を投与する(経口なら30mg/日:6錠~40mg/日:8錠、静注なら1mg/kg ) 必ず中止する(原則3ヶ月以内) レセプトデータからみると2016年においてもUC患者さんの半分は充分量が投与されておらず またUC患者さんの1/3は180日以上投与されていました。ステラーラの特徴は 寛解導入(下痢 下血 腹痛 粘血便などの症状が消える)では生物学的製剤をまだ投与していない患者さんに特に効果があり、抗TNFα抗体の効果がだんだん落ちてきた方(2次無効例) いろいろな生物学的製剤に効果がなくなった(多剤薬剤不応例)方でも効果があります。 寛解維持(下痢 下血 腹痛 粘血便などの症状が再び起こらないようにする)では 再発が少なく 副作用も少ない(治験データではプラセボと副作用の発生率はかわりない) 利便性(維持治療では2~3ヶ月毎に皮下注)がよいなどがステラーラの長所です。分子標的薬としては 潰瘍性大腸炎難治例に7種類使用可能であるが 潰瘍性大腸炎は病態が複雑なので投与前に臨床背景からどの薬剤が最も効果があるか予想は困難です。またUCの病態は治療する時期によって異なるようです。