2020/10/14 Takeda IBD 全国Webセミナー

Objective monitoring to improve the efficacy of biologics including vedolizumab in T2T strategy

兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 内科 准教授 渡辺 憲治先生 講演

 

この講演は炎症性腸疾患を診療する時の目標とそれに到達する方法を渡辺先生が講演してくれました。潰瘍性大腸炎 クローン病の治療の目標は病気の増悪による入院と手術を減らすことですが具体的には内視鏡検査やMREなどの画像診断で潰瘍がすっかりなくなることです(粘膜治癒)。さらに生検による顕微鏡の検査でも炎症がなくなることです。内視鏡や採血などの炎症マーカーによる病状評価をして目標に到達していなかったら治療を変更していくことを繰り返すことにより粘膜治癒を達成することが入院、手術を減らすためには必要です。特にクローン病では早めに治療を強化したほうが結果がよいです。またCRP, LRG(採血)、カルプロテクチン(便)などのマーカーを併用したほうが治療強化の判定に役立ちます。治療を強化したら必ず次に病状評価をいつするか決定して実行することが重要です。効果減弱の兆しが出た時はイムランなどの免疫調整剤を使用している場合はその投与量の調節やキサンチンオキシダーゼ阻害薬(ザイロリックなど)を併用してその効果を高めたようがよいでしょう。エンタイビオは病状が重症でない中等症で、アルブミンの高い栄養状態が比較的良い、腸以外に症状のない患者さんが良い適応です。生物学的製剤で比較すると 炎症を抑える力はレミケードなどの抗TNF-α抗体が最も強く ステラーラとエンタイビオはその次で同等です。安全性はステラーラとエンタイビオは生物学的製剤の中で最も副作用が少ないです。