2020/10/19 ビオフェルミンWeb セミナー 炎症性腸疾患と腸内細菌

滋賀医科大学医学部 消化器内科 教授 安藤 朗先生 講演

 

腸内細菌を語らせたら日本で随一の安藤先生の講演です。炎症性腸疾患がここ30年で爆発的に増加した理由は環境の変化が大きいようです。環境の変化のなかでは腸内細菌叢の乱れが重要です。乳酸菌 ビフィズス菌 酪酸菌の3つがそろうと腸内環境は良好ですが、このような菌が減って特に腸の中で酪酸がへると炎症を司る白血球の働きが落ちて腸に炎症が起こってきます。一時期糞便移植が話題になりました。抗生剤などを服用しすぎると発症するクロストリジウム腸炎には便移植はよく効きますが 残念ながら日本における潰瘍性大腸炎に対する治験では症状が比較的重くない患者さんでもあまり効果がありませんでした。(有効率:20%~30%、寛解率:0%)これは便移植が1回だけした時の成績ですので便移植の方法に工夫が必要でしょう。