2020/11/26 クローン病の治療目標 ~どうしたら患者さんの未来はよくなるか~

 

杏林大学の久松先生が司会をして北里病院の小林先生がクローン病患者さんの治療目標を何にしたら将来入院 手術が減るかを講演してくれました。クローン病では4ヶ月毎の臨床症状を指標にして改善しない場合は早めにレミケード、ヒュミラ、イムランの治療を強化していくと長期の入院や手術、クローン病の合併症を減らすことが報告されました(REACT)粘膜治癒を目標におき 半年ごとに内視鏡検査をして治療を最適化していくと長期の予後は改善します(POCER)バイオマーカーを目標にして治療を改善していくと入院率は下げて粘膜治癒率を上げることができたとする研究があります(CALM) これにはバイオマーカーを連続して測定することが必要ですがクローン病では日本では血中LRGしか測定できません。便中カルプロテクチンはクローン病では保険適応外です。LRGについては小腸病変を反映するかまだはっきりわかっていません。日常臨床での小腸の評価には腹部エコーがよいでしょう。またバイオマーカーは治療を変更する時の値が確定していないのが問題点です。これらを総合するとクローン病では早めに生物学的製剤で治療を開始して治療目標は臨床症状の改善だけでなく 可能な患者さんは粘膜治癒、小腸型のクローン病で検査が困難な患者さんはバイオマーカーを指標にするとよいかもしれません。