2020/11/17 Takeda IBD全国Webセミナー
クローン病におけるtreat to targetの意義とエンタイビオの役割 -最新トピックスを踏まえて-
慶応義塾大学医学部 内視鏡センター教授 緒方 晴彦先生 講演
2020/12/1
クローン病診療におけるバルーン内視鏡の役割 -小腸病変の評価・コントロールで予後を改善-
自治医科大学 内科学講座 主任教授 山本 博徳先生講演
勝手ながら緒方先生と山本先生の講演を一緒にして報告させていただきます。クローン病は若い時に下痢 腹痛 体重減少などで発症し一生病気のコントロールを継続していかなければならない病気です。治療目標は手術の繰り返しを防ぐ 言い換えれば短腸症候群を防ぐことです。クローン病は再燃寛解を繰り返すことで腸管ダメージが蓄積していきますが小腸の狭窄がこの病態のメインです。自覚症状がない間にも狭窄ができていることがあります。バルーン小腸内視鏡により粘膜治癒の確認と狭窄の拡張ができます。小腸病変の評価には 粘膜を評価するものとして:バルーン内視鏡、カプセル内視鏡 小腸造影、腸管全体の評価としてMRE、腹部エコー 小腸造影があります。バルーン内視鏡とカプセル内視鏡は狭窄があると途中までしか観察できません。小腸造影は検査者の技量により診断力が左右され専門施設でなければ検査できません。MREは患者さんの負担が比較的少なく腸管外合併症の評価もでき予後予測にも役立ちますが施行 読影に専門施設の放射線技師と放射線科専門医が必要で簡単に施行できません。今後は腹部エコーの評価がより重要になってくるでしょう。クローン病患者さんの再燃を防ぎ 手術を減らすためには発症早期の患者さん(early Crohn)を発見し 下痢 腹痛などの臨床症状だけでなく CRPなどのバイオマーカー、大腸カメラ 小腸カメラなどの内視鏡所見 MRE 腹部USなどの画像診断を併用して治療をステップアップしていく(T2Tアプローチ)が必要です。下痢 腹痛 発熱 体重減少などの症状が激しく 瘻孔 痔瘻を有する 術後などの患者さんは早期に抗TNF-α抗体(特にレミケード)を投与しなければなりません。これに当てはまらない患者さんは最初、5-ASA ステロイド イムランを投与しますが効果がなければすぐに生物学的製剤に治療を変更します。抗TNF-α抗体は1年に15%程度効果がなくなってくるのでそれを防ぐためには導入初期にイムランを併用して寛解を1年程度維持できれば中止するとよいです。ステラーラとエンタイビオは最初から併用する必要はありませんが効果減弱により10%程度の方にイムランが必要となってきます。