2020/12/11 Takeda IBD 全国Webセミナー
難治性潰瘍性大腸炎 内科治療の現状と問題 ~エンタビオの使用経験を含めて~
大阪医科大学 第二内科 専門教授 中村志郎
大阪医科大学の中村先生が潰瘍性大腸炎におけるエンタイビオの好適患者を解説してくれました。潰瘍性大腸炎治療の中心はステロイドですがステロイドを使用して10年観察すると約40%の患者さんが難治化します。つまりステロイドを減らすと再燃したり(ステロイド依存)、最初から効かなくなったり(ステロイド抵抗)します。ステロイド難治例のうち80%がステロイド依存例です。ステロイド依存例に対してはまずはイムランで治療しますが効果があるのは約50%で残りの50%の患者さんに生物学的製剤を代表とする分子標的薬が必要になります。現在 生物学的製剤は5種類(レミケード ヒュミラ シンポニー エンタイビオ ステラーラ) 経口薬は2種類(ゼルヤンツ プログラフ)がステロイド難治例に使用できます。レミケードは 中等症から重症の症状が強く入院するかもしれないような患者さん、ヒュミラとシンポニーは外来治療が可能な中等症の方に投与しますがシンポニーのほうを症状が比較的強い方に使用します。ゼルヤンツはステロイド30㎎~40㎎投与しても効果がない中等症のステロイド抵抗例に使用します。エンタイビオの好適症例は 他の生物学的製剤を使用する前で 内視鏡はびらん程度で 腸管外合併症がなく PSL10㎎以下に減量した時に再燃した患者さんに使用するとよいでしょう。また継続して投与するとだんだん効き目がでてきますが CRPが高くて症状が重い患者さんには不向きです。エンタイビオを投与中に少し悪くなった時はイムランや坐薬 注腸製剤などを併用してしのぎます。