2020/12/14 潰瘍性大腸炎Webセミナー

UC(潰瘍性大腸炎)における分子標的製剤の最適化:ウステキヌマブ(ステラーラ)の意義と課題

兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 内科 診療部長 渡辺 憲治先生 講演

 

兵庫医科大学の渡辺先生が最近潰瘍性大腸炎の臨床で使用できるようになったステラーラ、エンタイビオ ゼルヤンツなどのお薬の使用方法をまとめてくださいました。潰瘍性大腸炎の治療目標は粘膜が正常に戻ること(粘膜治癒:MES:0)で 下血 下痢 血便 腹痛などの症状がある時はこのような臨床症状の速やかな消失(寛解導入)を目指し 維持治療になったら粘膜治癒を目標にします。潰瘍性大腸炎の基本薬:5-ASA製剤(ペンタサ リアルダ アサコール)は量が多くてキチンと服用する(高容量&高アドヒアランス)の方が当然ですが再燃しにくいです。ステラーラは一度寛解導入できると効果が長持ちする薬剤ですがゆっくり効いてくる場合もあります。安全性も高くバランスのとれた薬剤です。エンタイビオも安全性が高い薬剤ですが2次無効率は30%程度で 一度効き目があった患者さんのうち2年後も効果が維持できている割合は潰瘍性大腸炎で70% クローン病で40%程度です。ゼルヤンツは切れのよいお薬で約半数の患者さんにすぐに効果がでます。またゆっくり血便 下痢 下血 腹痛などの症状が改善してくる患者さんもいます。ステロイドの効果がなくなった患者さんに最初に投与しても レミケードの効果がなくなった後の2番目に投与しても効き目に差があまりありません。通常4錠服用しますが2か月すぎて2錠に減らすと30%ぐらいが再燃します。一度効き目があった患者さんのうち2年後も血便 下血のない割合は60%程度です。副作用として帯状疱疹が多いです。またイムランの使用方法ですが 生物学的製剤の効果がなくなった(2次無効)時はイムランを増量、または投与していない方は投与開始後に 生物学的製剤を増量したほうが抗薬物抗体の影響を鎮めることができ増量の効果がより良好です。