2020/12/9 ヒュミラ10週年記念特別企画  炎症性腸疾患の治療戦略を考える

 

潰瘍性大腸炎 クローン病の両方に使用できるヒュミラが発売されるようになって10年が経ちました。大阪医科の中村先生 兵庫医科大学の渡辺先生 関西医科大学の長沼先生 大阪大学に飯島先生らが潰瘍性大腸炎 クローン病の治療目標や抗TNF-α抗体の特徴などを討論してくれました。潰瘍性大腸炎の治療目標はステロイドフリー寛解+粘膜治癒です。寛解導入の時は症状で判断して維持治療になったらステロイドを必ず中止して完全粘膜治癒を目指します。症状がないけど大腸カメラで少し炎症がある時は5-ASA製剤を増量 変更したり局所製剤を加えます。クローン病の目標は臨床症状なし+CRP:正常+粘膜治癒ですがクローン病の小腸病変は観察に手間がかかります。バルーン内視鏡やMREを施行しますが腹部腸管エコーも有用です バイオマーカーとしては血液検査で判断できるLRGが使用できるようになりました。小腸病変もある程度は反映するようです。潰瘍性大腸炎 クローン病で抗TNF-α抗体を使用する場合はできれば最初の6か月イムランを併用することにより抗薬剤抗体の産生を防ぐと薬効が長持ちし2次無効になりにくくなります。クローン病では炎症を早く落ちつけると手術が減るので早めに抗TNF-α抗体(ヒュミラ レミケード)の投与が必要です。潰瘍性大腸炎では治療はステロイド イムラン使用後に抗TNF-α抗体(ヒュミラ レミケード)の出番となりますがイムランを使用しても50%は寛解にならずステロイドを離脱できません。またレミケードは他のバイオ製剤が無効になった後に使用しても最初に使用した時と同様の効果があります。ヒュミラとレミケードの使い分けは重症度では炎症の強い方 入院が必要な方はレミケードで 中等症で外来治療が可能な方はヒュミラです。