2020/6/25 Takeda IBD 全国Webセミナー リスク下でのクローン病診療とvedolizumab(エンタイビオ)の意義

兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 内科 准教授 渡辺 憲治先生 講演

この講演はコロナ存在下での診療スタイルとコロナと炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)との関係、クローン病のステラーラの使い方を渡辺先生が講演してくれました。コロナに関しては後日まとめます。

たとえCRPが正常値でも検査をすると小腸に潰瘍がある患者さんがいらっしゃいます。長期に調子が良い(病気が再発しない、入院しない、手術にならない)ためには患者さんのどこが最も悪いかを把握することが重要です。

小腸の病状の確認は大腸よりハードルが高いのですが、そこを積極的に検査して評価し必要があれば治療を上乗せすることが大切です。

日本人のクローン病患者さんにおいても、ステラーラは入院するほどまでクローン病の病状が悪くなくて、レミケードやヒュミラをまだ使用していない患者さんの方がよく効くようです。

レミケードやヒュミラを使用して効果が落ちてきた患者さん(2次無効といいます)には前述の未使用例ほどは効かないようです。

レミケード、ヒュミラの効果が落ちた時に お薬を変更する場合 ステラーラにするかエンタイビオにするかは 海外の成績ではステラーラの方が良いようです。

エンタイビオは比較的効果がゆっくり出てくるので 投与し始めて少しでも効果があれば粘って使用し続けるとよいようです。また最初にエンタイビオを使用して効果が落ちて 次にレミケード、ヒュミラを使用しても レミケード、ヒュミラが最初に使用した時と同じ程度に効果があるそうです。

エンタイビオは副作用が少ないので 糖尿病や高血圧など他の病気が多い高齢者に最初に投与するのが適しているかもしれません。いずれにせよお薬が増えたのでひとりひとりに最も適したお薬を選択していきたいと思っています。