2020/7/14 Crohn’s disease Expert Web seminar クローン病における治療目標と粘膜治癒の評価

東京医科歯科大学 光学医療診療部 教授 大塚 和朗先生

東京医科歯科大学の大塚先生がクローン病の治療のあり方 特に小腸病変の評価 治療方法を講演してくれました。クローン病の患者さんのうち80%の方に小腸に病変があるのでこれをどうやって治療するかが大変重要です。しかし通常の大腸カメラでは小腸に届かないので小腸を観察することが実際の臨床では大変難しいのが実情です。そこで大塚先生はMREを用いて評価しています。MREは大腸カメラをするときの半分量の下剤を服用して小腸を膨らませてからMRIを施行する検査です。さらにその後肛門からバルーン小腸内視鏡検査をして小腸全体を評価しているそうです。その方法によって得られたデータでは 小腸の縦走潰瘍を放置しておくと1年後には多くの患者さんで症状がでてくる。抗TNF-α抗体(レミケード インフリキシマブ ヒュミラなど)で治療した場合 小さい潰瘍は残っても縦走潰瘍がなくなればその後の再燃は少なくなる。抗TNF-α抗体は小腸と大腸を比較すると大腸病変の方が治りやすい などのことが分かりました。また小腸によくみられる狭窄は潰瘍を合併していると内視鏡で潰瘍を広げてもほとんど1年後には再狭窄するため 可能なら生物学的製剤で潰瘍をよくしてから拡張するほうが再狭窄しにくくなります。MREは潰瘍性大腸炎 クローン病の専門家が常勤している大病院でしか施行できないのが難点ですね。