2020/7/16 Takeda IBD 全国Webセミナー
Which therapy and when: considering treatment goal with evolving evidences in Crohn’s disease(クローン病のエビデンスから考えると 治療目標はどこに置いて、いつ どの薬剤を使用するか?)
Silvio Danese, MD Humanitas Research Center, Italy
今回は クローン病の治療の原則を クローン病に対するエンタイビオの使用方法を交えて Danese先生が教えてくれました。クローン病は若い時に発症する病気なので治療を陸上競技に例えると100m走ではなくて マラソンになります。つまり目の前のことだけでなくて先のことを考えながら治療することが必要です。クローン病は発症してから時間が経過すると腸管に狭窄や瘻孔がだんだんできてきて その後に治療しても治りにくくなるので 発症後できる限り早く(狭窄や瘻孔ができる前に)診断してキチンと治療することが最も重要です。抗TNF-α抗体(レミケード、インフリキシマブ、ヒュミラ)はよく効く治療法ですが発症後早期に診断して投与するとさらによく効きます。治療開始後は粘膜から潰瘍がなくなるまで治療します。粘膜から潰瘍がなくなることを粘膜治癒と呼びますがそこまで治療がうまくいくと その後は再燃しにくくなり入院 手術を受けずにすんで 癌にもなりにくくなります。発症後 粘膜治癒に達成する期間が短いほど長期に良い状態が続きます。粘膜治癒の確認にはカメラ(内視鏡検査)で粘膜を診るだけでなくMREなどで粘膜全体の炎症の改善の確認が必要です。カメラとMREの両方で粘膜治癒に至った患者さんが良い状態が最も長く続きます。エンタイビオも発症、診断2年以内の患者さん 生物学的製剤として1剤目に使用した方がよりよく効きます。効果は比較的ゆっくりでてきて 肛門病変にも効果はありますがここは抗TNF-α抗体の方に効果があります。またDanese先生はクローン病術後の方には術後6か月後にカメラで検査をしてほとんどの症例に生物学的製剤を投与しているそうです。クローン病治療の原則をしっかり頭に叩き込んで治療に臨みたいと思いました。