2020/7/1 クローン病Webセミナー COVID-19 現状下におけるIBD診療について
札幌医科大学医学部消化器内科学講座 教授 仲瀬 裕志 先生 講演
2020/7/2 Kyorin IBD Web-Link Seminar COVID-19リスク下でのIBD診療
兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 内科 診療部長 准教授 渡辺 憲治先生 講演
2日連続して新型コロナ感染症が炎症性腸疾患:IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病など)患者さんと その診療にどのように影響するかを日本の著名な先生お二人が講演してくれたのでまとめて報告します。日本ではまだ潰瘍性大腸炎、またはクローン病にかかっている患者さんで新型コロナにも感染した方は少ないので海外の経験のまとめです。まず新型コロナウィルスは以前のMERS, SARSと比較すると致死率は低いのですがより感染しやすいのが特徴です。しかし まず安心していただきたいのは 潰瘍性大腸炎 クローン病の患者さんは新型コロナに一般の方よりも罹りやすいことはありませんし、罹っても重くなりやすいこともありません。新型コロナは腸の粘膜から体内に入っていくこともあるので 咳や発熱などのカゼ症状の前に下痢がおこることもあります。重症化して死亡に至るリスクになるのはIBD患者さんでは 病気の調子が悪くて下痢 下血 腹痛 発熱などがある場合とステロイドの使用の二つとされています。もう一つは高齢がリスクになるそうですがこれはどんな感染症でも当てはまることでしょう。このことから現在日本では新型コロナ感染症は一服した状況ですので 症状がある患者さんは今のうちにしっかり治療して病状を安定させることが最も大切です。今調子が良い患者さんは現在の治療を継続して病気を悪化させないことが重要です。免疫を抑えるお薬を使用すると新型コロナに感染しやくすなるのではないかと心配されているかもしれませんが 特にレミケード インフリキシマブ ヒュミラ ステラーラなどは使用しても感染のリスクにならないようです。ステロイドの全身投与(注射、内服)は新型コロナが広がっている地域ではその使用は可能なら避けた方がよいかもしれません。イムラン アザニン ゼルヤンツは万が一新型コロナに感染した場合は減量や中止が必要かもしれません。いずれも一概に決められずケースバイケースなので 新型コロナに感染した場合のIBD治療については その時の周囲の感染状況を加味したうえで 主治医の先生とよく相談して決定した方がよいでしょう。