2020/8/18 ステラーラUC適応拡大記念Web セミナー

杏林大学医学部 教授 久松 理一 先生講演

潰瘍性大腸炎治療における新規治療薬ウステキヌマブ(ステラーラ)への期待と役割

 

久松先生がステラーラの効果のメカニズムを基礎医学のことを含めて講演してくれました。IL12とIL23は獲得免疫に重要なT細胞の分化に必要なサイトカインで ステラーラはそのIL12とIL23を抑制するお薬ですがIL12は全身の炎症 IL23は局所の炎症に重要な働きがあるそうです。潰瘍性大腸炎の治験の成績ではステラーラは 生物学的製剤を始めて投与する患者さんと レミケード ヒュミラ シンポニーで効果がなくなってきた患者さん(抗TNF-α抗体効果減弱例)とで治療成績にあまり差がないのが特徴です。維持治療は8週間隔と12週間隔で投与できますが 当然ですが8週間隔の方が治療成績がよい。1年で40%の方が粘膜まで治ります(粘膜治癒)。長期の成績(2年)でも8週毎に投与した方は約80%の症例でステラーラを投与し続けることができました。12週では60%です。副作用は特に増加しませんでした。ステラーラは皮膚疾患(乾癬)にも投与できますが乾癬では5年の観察で目立った副作用や重い副作用はなく また副作用は時間が経っても増えませんでした。8週毎に投与した方が良い患者さんはレミケード ヒュミラ シンポニー、エンタイビオなどで効果がなくなってきた方や 症状がよくなっても CRP カルプロテクチンなどの炎症マーカーがよくならない方です。クローン病ではステラーラは免疫調節薬(イムラン、ロイケリン)を併用している患者さんに効果が長持ちします。狭窄がある患者さんは効果が弱くなりやすいタイプです。