2020/8/22 Entyvio National Web Symposium
潰瘍性大腸炎(UC) クローン病(CD)の両疾患に使用可能となったエンタイビオについてその最もよい使用方法を考えるWeb Symposiumが開かれました。日本のそうそうたる炎症性腸疾患(IBD)のエキスパートが集合してそれぞれ講演したのですが僕が聴講してまとめたものを提示します。IBDの診療の仕方として最も大切なのはそれぞれの患者さんに合わせた治療の目標を決定してそれを目指して評価と治療を繰り返していくことです(タイト モニタリングと言います)。これを実践するには患者さんとよくよく話し合って患者さんにも検査 治療のことなどを充分理解してもらい一緒に決定することが必要です。最近はやりの言葉ですがSDM(shared decision making)の実践ですね!患者さんをキチンとモニタリングして維持治療中の再燃の兆しを早めに見つけて先手を打って検査 治療することが結局は将来の入院や手術を防ぐことになります。特にクローン病はCRPが正常の患者さんでも約50%に小腸に潰瘍が残っているそうですのでMRIなどで狭窄を見つけて早めに拡張することが手術の予防になるそうです。CDではエンタイビオがよく効く症例は 発病してからの期間が短く まだ他の生物学的製剤を使用しておらず 栄養状態が比較的よい(アルブミンが高い)などです。潰瘍性大腸炎においては 重症例では入院してサンディミュンやプログラフで治療しますが、これらの薬剤は維持治療には使用できません。イムランで維持治療をすると再燃することが多いので代わりにエンタイビオを使用するとよいです。またペンタサやリアルダで発熱して下痢になるかた(5-ASAアレルギー症例)、このような方は他のお薬にもアレルギーが出やすいのですがエンタイビオが効果あるようです。エンタイビオはメカニズムからすると腸管だけ効果があり腸管以外の症状に効果ないようですが関節痛にも約半数の患者さんで効果があります。ただし副作用で10%超の患者さんに関節痛が逆におこります。エンタイビオは一般に効果がゆっくりですが症状の軽い軽症例にはすぐ効果がでます。