2020/8/24 Takeda IBD 全国Webセミナー

クローン病におけるTreat to Targetの意義とエンタイビオの役割

~最新トピックを踏まえて~

慶応義塾大学医学部 内視鏡センター教授 緒方 晴彦先生 講演

 

今回は 緒方先生がクローン病診療は何を目的にしたらよいのかと最新のトピックスを講演してくれました。クローン病は進行する病気で発症から時間がたつと狭窄 瘻孔ができてきて手術を受けなければならなくなります。このような病気の進行を防ぐ治療が必要です。そのためには症状だけで病状を判断するのではなく便カルプロテクチンやCRPをマーカーにして早めに治療を開始 変更していくのがよく 内視鏡では潰瘍の消失 CT MRIで炎症所見の消失 もちろん腹痛 下痢 発熱などの臨床症状がなくなるまで治療を変更 前進させていきます。内視鏡やMRIでここまで改善すると以後再発しにくい目標値が知られてきました。クローン病は粘膜の全層に炎症がおこるので大腸内視鏡 小腸内視鏡検査は粘膜しか評価できないので CT MRI エコーなどで粘膜全体の評価も必要です。軽症から中等症で回盲部に限局したクローン病はステロイドかゼンタコートで治療可能ですがゼンタコートの方がより副作用が少ないです。この時は維持療法としてイムラン、ロイケリンの併用が必須です。白血球 赤血球の値を目安に投与量を調整します。重症や痔瘻のある方 術後の方には最初から生物学的製剤を投与したほうがよいです。現時点でのクローン病の大規模治験の結果を間接的に比較したデータ(新しい文献が出るとこの結果は変わることがあります)では 生物学的製剤をまだ使用していない患者さんには 最初に使用するお薬はレミケードかステラーラで、安全性ではエンタイビオとステラーラがよいとの結果でした。