2020/8/27 ヒュミラInternet Live Seminar
東京山手メディカルセンター 炎症性腸疾患内科 部長 吉村 直樹先生
日本で最も潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の患者さんを診ている吉村先生の講演です。吉村先生の山手メディカルセンターは現在受診しているUC:1100人! CD:1900人!、昨年はそれぞれ60人が新規で受診したそうです。一つの施設で大分県の患者さんより多いですね! 炎症性腸疾患患者さんは現在日本で30万人ぐらいなので全国の1%の症例を一つの施設で抱えている計算になります。本当にすごいですね。さて今の潰瘍性大腸炎治療の目標はステロイドを使用せず症状が全くなく粘膜が完全に治っていることです。(医学的にはステロイドフリー寛解+粘膜治癒:Deep Remission と言います)この目標が到達できれば再燃が減って入院しなくてすみ結果的に手術で大腸を切らずにすみます。大腸癌も出なくなります。UC治療は原則 5-ASA(ペンタサ、リアルダ、アサコールなど)→ステロイド→生物学的製剤などとステップアップしていきます。ステロイドを使用した場合 短期間(中等症は2週間 重症は1週間)で有効か判定し 決して継続して使用しません。また服用は必ず中止します。ステロイドで効かない またはステロイドで効果があるが量を減らすと下痢下血が再発する場合に生物学的製剤の出番になります。生物学的製剤にはレミケード ヒュミラ シンポニー ステラーラ エンタイビオと現在5種類がUCでは使用可能です。この中ではレミケードが最も効果の切れ味がよいので 症状が激しい患者さんや粘膜に深掘潰瘍ができているような方に使用します。ヒュミラ シンポニー ステラーラは大体同じぐらいなので 症状が中等症の患者さんにそれぞれの薬剤の特徴に合わせて患者さんの好みを考慮して使用を決めます。エンタイビオは効果がゆっくりですが全身の副作用が少ないようなので高齢者や癌の治療歴したことがある患者さんなどに使用します。ヒュミラのよい点は自己注射が可能なので時間的拘束が少なく自分のライフスタイルに合わせて治療が可能な点です。また最近これまでのシリンジに加えてペン型が発売されました。患者さんの意見を聞くとペン型のほうがより痛くなくて操作が簡単だそうです。一方では多くてかさばり冷蔵庫で幅をとる 廃棄が大変などの意見もありました。どちらにするかはこれも好みで決めたらよいですね!