2020/9/11 The front line of IBD 潰瘍性大腸炎(UC)治療の基本 -5-ASA製剤のup-to-date-
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 副センター長 小林 拓先生
今回は小林先生が5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)の基本知識とトピックスを教えてくれました。5-ASA製剤は潰瘍性大腸炎治療の基本のお薬で その量が多い方が良く効きますが副作用は量が増えてもその頻度は増えません。5-ASA製剤の治療で最も重要なのはお薬をキチンと飲み続ける(アドヒアランスと言います)ことです。当然ですがアドヒアランスがよくない(お薬をキチンと飲んでいない たくさん余ってしまう)患者さんは再燃しやすいです。アドヒアランスを向上させるには複数回よりも1日1回の服用がよいので 「朝忘れたら日中どこでもよいのでどこかで服用して下さい」とアドバイスするとよいでしょう。またお薬をたくさん服用すると体に悪いと思っている患者さんもいるので5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)は「飲む量が増えても副作用は増えません」と誤解を解いてあげましょう。また少し専門的な話になりますがもともと5-ASA はイムランの効果を上げる作用があります。その中でもペンタサは3つの5-ASA製剤の中で最も血中に吸収されやすいのでイムランの濃度を上昇させ良い効果が出やすくなります。 最近の研究ではペンタサとイムランを服用している患者さんが再燃してペンタサをリアルダに変更すると肝機能障害がでてきたり再燃しやすくなるそうです。アサコール リアルダはペンタサに比べ血液中に吸収されにくく リアルダに変更するとイムランの濃度が落ちて効果が減るため前述のような副作用 再燃がでてくるようです。経口薬の場合お薬の相互の作用を知っておくのも大切ですね。