2020/9/30 IBDネットフォーラム  潰瘍性大腸炎治療における5-ASA製剤の位置づけ

関西医科大学 内科学第三講座 主任教授 長沼 誠 先生

本年4月に関西医科大学に移動された長沼先生が5-ASA製剤(特にリアルダ)の潰瘍性大腸炎治療における疑問点などを解説してくれました。直腸炎型の患者さんには本来は坐薬で治療すべきですが坐薬は毎日の使用が困難な方もいらっしゃるのでその場合は経口薬で治療します。そのさいリアルダは上行結腸から下行結腸までまんべんなく5-ASAが放出されるのでアサコールよりも直腸炎型での成績が勝っています。リアルダでは軽症の方の中には2錠/日で治療可能な場合がありますが 中等症以上で 以前ステロイド使用歴のある症例は4錠/日がよいでしょう。4錠/日でずっと調子が良い場合2錠/日に減量したくなりますが内視鏡検査で粘膜が直っていない場合は減らすと再燃しやすいです。また治療開始時にアルブミンが低値 血小板が高値 ステロイド使用歴があるような症例は4錠/日で維持したほうがよいでしょう。ある5-ASA製剤で再燃した時 すぐにステロイドを使用するのではなく 他の5-ASA製剤に変更する場合 サラゾピリンが最も成績がよいです。症状がどんどん悪くなっていなければ 5-ASA製剤同士で変更可能ですがリアルダは4錠/日にするのがよく、2週間程度で効果を見極めましょう。また5-ASA製剤でアレルギーがでる患者さん(5-ASA 不耐)はサラゾピリンが使用できることがあります。5-ASA 不耐の患者さんの治療は左側型 直腸炎型には局所製剤で対処します。全大腸炎型や症状が激しい患者さんにはイムランや副作用の少ないバイオ製剤が必要になることがあります。