2021/1/13 Crohn’s disease Web Seminar

東京慈恵医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科 主任教授 猿田 雅之先生 講演

ウステキヌマブ(ステラーラ)による新たなクローン病治療の展望 ~理論と実践を踏まえて~

 

慈恵医大の猿田先生が新たな文献データと自験例を織り交ぜクローン病治療におけるステラーラの使い方を再び教えてくれました。クローン病は腫瘍でないのに何度もお腹の手術を行わなければならなくなる予後の悪い疾患です。また日本人の特徴ですが肛門病変が多くQOLを下げる大きな原因になります。ステラーラはIL12とIL23を抑制するお薬ですが 抗原提示細胞の働きを抑えて炎症の上流で作用します。新しい文献データによるとステラーラが長期によく効く症例は 大腸型 中等症 内視鏡所見が軽度(便中カルプロテクチン≦250)、導入時に下痢 腹痛などの症状が速やかによくなったなどです。イムラン併用は必要なく バイオ製剤が1剤無効の次に投与したらよく効くようです。大腸型では抗TNF-α抗体と治療効果は同等です。症状以外に腹部エコーで評価して治療を強化すると効果がさらによくなります。クローン病の好適症例は、まだ他のバイオ製剤を使用する前で ステロイド抵抗性ですが寛解にならない程度でCRPの上昇<1のあまり激しくない症例、術後の症例です。副作用が少なく一度下痢 腹痛などの症状が良く改善すると長期に効果があります。瘻孔 症状が強く 重い肛門病変などがある患者さんはレミケードのほうがよいですが ステラーラを使用する場合は白血球除去療法やゼンタコートを併用します。