2021/1/20 Ulcerative Colitis Web Seminar
潰瘍性大腸炎 最新のreal-world practice
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 副センター長
小林 拓先生 講演
北里病院の小林先生が潰瘍性大腸炎の実際の臨床に役立つ内容の講演をしてくれました。
まずステロイドですがステロイドは投与したら寛解(下痢 下血 血便 腹痛などの臨床症状がすっかりよくなる)にならなければ治療の追加 変更が必要で 効果があってもなくても画一的に減量しなければなりません。もしステロイドが1回終了できた後に再燃して2回目投与することになった場合は減量するときにイムランを併用します。
イムランを使用する際はNUDT15を必ず測定し最も心配な副作用(急激な血球減少 全脱毛)を予防します。投与量は白血球:3000程度を目安に増量します。NUDT15が安全なタイプならイムラン2錠~3錠 少し危険なタイプなら0.5錠~1錠で維持します。ペンタサを使用している患者さんは気持ち少なめ リアルダ アサコールは気持ち多めに投与します。長期の安全性ですが外人では悪性リンパ腫が多いのですが日本人はその1/10ですのであまり心配は要りません。
下痢 下血 血便がなくなった時、寛解期の治療目標は可能なら粘膜治癒を目指します。直腸のみ軽い炎症が残ってもすぐに加療する必要はなく症状がでたらまずは坐薬 注腸製剤で治療します。便中カルプロテクチンは再燃の早期検出に優れているのでこれまで臨床経過がよくない患者さんに定期的に測定します。
症状が強い時には 病状把握のために内視鏡検査(大腸カメラ)は何度もできないので代わりに腹部エコーを行います。お腹から検査すると直腸がよく見えないので新しい方法としてお尻から検査すると直腸病変のことがよくわかります。
分子標的薬:バイオ製剤 経口薬はお薬の特徴と患者さんの病状 希望、社会的背景を考え併せて、患者さんとよく相談し どのお薬がよいか決定します。
ステラーラを潰瘍性大腸炎に使用した時の特徴は 比較的効果が早く、最初効かなくても4か月まで我慢して投与できれば約80%の方に何らかの効果があります。これまで他のいろいろなお薬に効果がない患者さんにも有効で 安全性も高いです。