2021/10/5 IBD Web セミナー

クローン病小腸病変のモニタリングと内科治療

上記の演題で札幌医科大学の仲瀬先生が司会をされ 東京医科歯科大学の竹中先生が講演してくれました。

 

クローン病は慢性の炎症性疾患であり患者さんの70%以上に小腸に潰瘍があります。症状、QOLは大腸病変に対応しますが予後は小腸病変が規定します。小腸病変はMRE(MRIによる小腸病変の評価)とダブルバルーン小腸内視鏡(BAE)で評価します。BAEで検査すると患者さんの20%に回腸末端に潰瘍がなくてもその口側の深部回腸に潰瘍を認めました。CDAI(症状)とCRP(採血検査)が正常であっても45%の患者さんに小腸に潰瘍を認めました。小腸潰瘍(>0.5cm)は入院 手術のリスクになります。MREは内視鏡所見と相関し、MREで認めた小腸病変も入院 手術のリスクになります。但しMREでは狭窄の評価が不十分です。治療のこれまでのエビデンスは大腸病変が主体で小腸病変の評価は少ないのが現状です。レミケード、ヒュミラなどの抗TNFα抗体で治療すると大腸粘膜治癒:80%、小腸粘膜治癒40%で小腸潰瘍は治りにくく 治療のさいにはイムランを併用したほうが治りやすいです。レミケード ヒュミラ ステラーラの大腸粘膜治癒の効果は同程度ですが小腸粘膜治癒にはレミケードが最も効果がありました。粘膜治癒を達成するにはお薬の濃度の上昇が大切です。小腸潰瘍は臨床寛解でも予後不良の因子なので指摘できたら治療すべきでしょう。治療開始後 6ヶ月ぐらいでモニタリングを開始します。LRGはクローン病小腸病変の評価にCDAI, CRP(臨床症状 採血検査、)より役立ちます。腹痛 下痢がなく CRP<0.3でもLRG高値ならば 小腸に潰瘍がある可能性があります。大腸の粘膜治癒評価にも有用です。