2021/10/7 Takeda IBD全国Webセミナー
IBD診療におけるワクチン接種 ~コロナ渦でもわすれてはいけないこと~
東北大学の志賀先生が潰瘍性大腸炎 クローン病患者さんのワクチン接種における注意点を講演してくれました。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)の患者さんは一生のうちに50%のかたが何らかの免疫抑制治療を受けるそうです。経口ステロイド>2週間>20㎎/日(4錠)、イムラン>150㎎/日(3錠)使用すると免疫抑制状態にあたります。免疫抑制している状態ではB型肝炎と結核の発症のリスクが高いです。結核は免疫抑制治療開始後3年ぐらいまでが高リスクです。生ワクチン(結核、麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)、黄熱病 など)を予防接種する場合 ステロイドなら1か月程度 レミケードやイムランなどは3か月程度事前に中止してから接種になります。不活化ワクチン(B型肝炎・ヒブ感染症・小児の肺炎球菌感染症・百日せき・ポリオ・日本脳炎・インフルエンザ・A型肝炎・髄膜炎菌感染症、狂犬病 など)は中止する必要はありません。随時接種できます。ワクチンを接種しても潰瘍性大腸炎 クローン病の病状は悪化しませんのでワクチンは接種したほうがよいでしょう。一般に健康人よりも炎症性腸疾患患者さんは抗体価が低い傾向があります(感染予防には影響はありません)。また免疫抑制治療の治療内容(特に抗TNF-α抗体(レミケード、ヒュミラ シンポニー)とイムランの併用)により抗体価が低くなる場合があります。エンタイビオは全身への影響がなく注意すれば生ワクチン、不活化ワクチンの両方を接種できます。但し、エンタイビオ使用により腸管感染症を増加させる可能性もあるので気をつけておくことが必要です。