2021/11/29 ヒュミラインターネットライブセミナー

クローン病の治療について岩手医科大学の松本先生と兵庫医科大学の渡辺先生が講演してくれました。

血液で測定できるバイオマーカーのLRGの生体内での意義はまだはっきりしていませんがSES-CDとLRGは相関するので小腸病変を含むクローン病のモニタリングに有用です。但し膵癌 肺がん 卵巣癌などでも高値になります。クローン病の病状の進行は画像→バイオマーカー→臨床症状(下痢 腹痛など)ですので治療の開始は炎症の強くなる前 症状が激しくなる前に開始すべきです。バイオマーカーで厳密にモニタリングしながらバイオマーカーの上昇があれば治療開始したほうがよいでしょう。但しクローン病の腸管変形(狭窄など)はバイオマーカーでは評価できません。いろいろ治療を工夫して手術を防ぐことが肝要です。クローン病の治療目標は粘膜治癒ですがこれを目指すにはより高い薬物血中濃度(トラフ)が求められます。トラフが低くなると抗薬物抗体が産生され効果減弱の原因となるので抗薬物抗体が高値になる前に治療を強化します。抗TNFα抗体(ヒュミラ レミケード)では高用量や期間短縮する前にアザチオプリンの併用を開始したほうがよいでしょう