2021/11/30 Ulcerative Colitis Web Seminar

潰瘍性大腸炎の長期治療戦略

~治療目標とモニタリングを考える~

上記の演題で東邦大学医療センター佐倉病院の松岡 克善 先生が司会をして北里大学北里研究所病院の小林 拓 先生が講演してくれました

 

潰瘍性大腸炎のモニタリングではCRPは早期 便中カルプロテクチン(FCP)は維持期 LRGはどちらでも有用です。潰瘍性大腸炎においてLRGはCRPよりも内視鏡的活動性をより鋭敏に反映し 抗TNFα抗体の治療効果も反映します。FCPは再燃予測にも有用で FCPが上昇すると1年以内に30%~40%の患者さんが再燃します。FCPは症状の改善に少し遅れて低下します。潰瘍性大腸炎寛解期の粘膜治癒のモニタリングにCRPは不向きでFCPやLRGがより適しています。組織学的治癒を達成していなければ潰瘍性大腸炎が現在寛解状態でも将来再燃するリスクが高いと考えられます。粘膜治癒:MES0でも生検で杯細胞の減少を認めると再燃しやすいようです。これまでの経過で 再燃しやすい患者さん 再燃すると重症になりやすい患者さんはFCPやLRGでモニタリングし早めに検査、治療したほうがよいでしょう。潰瘍性大腸炎をレミケードで治療中に寛解になったのでレミケードを中止すると1年後には80%の患者さんが再燃します。投与継続しても1年後には54%の患者さんが再燃します。中止したことによる再燃の差は24%です。レミケード休薬後に再燃した患者さんにレミケード再投与すると約2/3が寛解となります。ステラーラはレミケード2次無効後に投与しても効果が高く一度効果がでると長期に維持できます。全大腸炎型の潰瘍性大腸炎患者さんで症状はないが内視鏡で観察すると左側大腸に炎症が再発している場合があります。この場合は臨床症状がでても重症になりにくいので症状の再発後に治療してもよいと思われます