2021/11/05  JDDW2021ブレックファーストセミナー

潰瘍性大腸炎の治療戦略 ~基本治療を再考する~

 

福岡大学の平井教授が上記の演題で潰瘍性大腸炎の基本治療の考え方とレクタブルの使用方法を教えてくれました。

潰瘍性大腸炎は治療で一度寛解になってもその後5年間で約75%が再燃します。基本治療薬の5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)を有効で安全に使用するには 寛解導入期には高用量(寛解導入>3g/日、維持期>2g/日)、高度下痢や併用薬の影響を考慮する アドヒアランスの向上(1日1回がベター)、必要な場合には局所剤の併用などが大切です。内服治療を長期に継続するのは患者さんにとって大変難儀なことですが5-ASA製剤を減量すると1年で約30%、5年で50%再燃します。これまで複数回再燃した患者さんや発症時重症であった患者さんは減量しないほうがよいでしょう。減量を避けたい臨床因子は 若年発症、発症時:低アルブミン 貧血、病理:basal plasma cytosis(+), crypt distortion(+)です。レクタブルは1回投与と2回投与で6週目の臨床寛解は同等ですが粘膜治癒は2回投与の方が高いです。この粘膜治癒率はバイオ製剤と同等です。また2回投与(~6週まで)していた方が1回よりも投与中止後の再発も少ないです(他剤による維持治療が必要です)。バイオ製剤使用中に2次無効になった時レクタブルを併用すると再寛解導入できる場合があります。白血球除去療法も同様にバイオ2次無効時の併用が有用です。レクタブルは再燃時の併用に役立ちますので寛解になったら一度中止して約4週間休薬期間を作れば再使用可能です。