2021/12/18 IBD club Jr
5-ASAアレルギー
岡山大学病院の平岡先生が最近の5-ASA製剤(ペンタサ アサコール リアルダ)のトピクスである5-ASAアレルギーを講演してくれました。
最近 5-ASA製剤が副作用のため服用できない患者さん(5-ASA不耐)が増加してきました。 特に投与開始後2週間程度で下痢 発熱 腹痛などを起こす5-ASAアレルギーの増加です。メサラジンに不耐の場合と メサラジンを包むお薬の殻が不耐の原因の場合があります。5-ASA不耐の患者さんと服用できる患者さんの腸内細菌の組成が異なると報告されています。頻度は10%程度 潰瘍性大腸炎のほうがクローン病より圧倒的に多く(リスク10倍) 5-ASAの増量後や変更後に発症することがあります。脱感作(いったん中止後 少量から徐々に増量していく)の成功率は60%ぐらいで ペンタサ顆粒を使用したり サラゾピリンは顆粒にできるのでこちらを使用することもあります。DLSTの有用性ははっきりしません(薬剤 検査時期で結果が異なる)がDLST陽性であれば基本的には再投与しません(するなら脱感作)。5-ASA変更で治療する時はまずはサラゾピリンで加療します。アレルギーの程度が軽ければ柴苓湯などでも治療できます。一般に5-ASAアレルギーの内視鏡所見は浮腫程度で軽度ですが暴露時間が長期になると潰瘍形成してきます。5-ASAアレルギーと気がつかずステロイドを投与するとその症状がマスクされる場合もありますが重症になるとステロイドが効果ない時もあります。5-ASA不耐の方は長期でみると予後が悪く、再燃しやすく 再燃までの期間も短く 入院率やステロイド使用率が高いです。