2021/12/3 九州消化器病学会・消化器内視鏡学会 地方会 evening seminar

IBDと腸管外合併症

以上の演題で  九州大学の梅野先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎 クローン病は 病変の首座は大腸 小腸ですが 免疫異常が主たる病態ですので 腸管以外に関節痛 関節炎 皮膚疾患 尿路結石 胆石 結膜炎などの腸管外合併症(Extra Intestinal Manifestation: EIM) を併発することがあります。 皮膚病変はクローン病の約10%、潰瘍性大腸炎の約5%に併発します。結節性紅斑は潰瘍にならないのが特徴です。壊疽性膿皮症は小さな外傷がきっかけになることがあります。スイート病はイムランやNSAIDS(解熱鎮痛剤)が誘因となることがあります。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)を投与すると約20%の患者さんに何らかの皮疹が出現し乾癬様皮疹は5%程度です。イムランなどを併用すると抗TNFα抗体による乾癬は発症しにくくなりますが長期継続して投与(若年よりの投与開始)すると発症リスクは増加します。末梢関節炎はクローン病の約20%、潰瘍性大腸炎の10%に併発し通常 骨破壊はありません。下肢の大きな関節に起こる関節炎はだいたいその多発は少なく、急性に腫脹を生じ腸の活動性と相関することが多く30%程度で再発します。手などの小関節に多発する関節炎は腸の活動性と相関せず、このような関節症状が潰瘍性大腸炎 クローン病の腸病変に先行して発現し病気のきっかけになることもあります。現病変の治療強化が関節炎の治療につながることが多いです。抗TNFα抗体は関節炎 脊椎関節炎 結節性紅斑 壊疽性膿皮症 ブドウ膜炎など多くのEIMに有効です。ステラーラは末梢関節炎に有効のようです。脊椎関節炎にはゼルヤンツも有効かもしれません。エンタイビオは総じてEIMには有効でないようです。