2021/2/10 IBD STANDARD THERAPY

アダカラムによる潰瘍性大腸炎の治療戦略

-最新のエビデンスから-

JA北海道厚生連札幌厚生病院副院長兼IBDセンター長 本谷 聡先生

 

札幌厚生の本谷先生がアダカラムの最新データと使用時の考え方をまとめてくれました。

アダカラムを用いた白血球除去療法の良い点(GMA)はステロイドの悪い点を避けることができる点です。ステロイドは初めて投与すると短期的にはよく効く治療法ですが維持治療には効果がないうえにだらだら投与すると副作用が必発で中には命にかかわる副作用(特に感染症)があります。GMAはステロイドを投与できない患者さんに使用するとよいことが多く 具体的には 高齢者 若年者 癌がある患者さん 肺に病気がある患者さんなどです。以前は週1回しか施行できず下痢 下血 血便 腹痛などの症状改善に時間がかかっていましたが現在は毎日でも施行できるので(現実には週2,3回)短期間に施行回数を増やせば症状改善の時間は短くなりました。副作用の発現が心配で他の生物学的製剤や分子標的薬の投与が懸念される患者さんたち:高齢者 貧血あり 小児 いろいろなお薬を投与中;このような患者さん達にGMAは安全に使用でき(中止率20%程度)。効果も一般の患者さんに投与した時と変わりありませんでした。またクローン病患者さんでレミケード投与中に下痢 腹痛などの症状が再発した方(2次無効)にGMAを併用するとレミケードの効きがまたよくなります。