2021/3/10 IBDを考える会 ~5-ASA製剤を中心に~

潰瘍性大腸炎治療について ~変遷と今後の展望~

 

東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 教授 松岡 克善先生講演

 

潰瘍性大腸炎 1976年:965人→現在約22万人

クローン病 1976年:128人→現在約7万人

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)の患者さんは日本のおいて急激に増加しました。しかし時代と共に治療方法も増加し それに従って治療目標も高くなり 以前の治療目標(臨床寛解:下痢 血便 下血 腹痛などがなくなる)から 粘膜治癒(大腸カメラで粘膜が潰瘍性大腸炎 クローン病は発症前の元の状態に戻っている)、組織学寛解(生検で炎症がない)さらに分子的寛解まで進んできています。リアルダ ペンタサ アサコールなどの5-ASA製剤は一般の内服薬とは作用メカニズムが異なり血液中に入ると効果はなく(逆に副作用になる)直接大腸粘膜に張り付いて効果を発揮します。「飲む軟膏」です。潰瘍性大腸炎は下痢 血便 腹痛などが再燃しやすい病気ですが強いストレスや食事の内容などは再燃に関係しているかはっきりしていません。再燃防止に最も大切なのはアドヒアランスで、処方されたお薬の70%以上服用することが重要です。5-ASA製剤が治療の中心である患者さんが再燃したときはまずはキチンと服用しているか確認してみることが大切です。一般に食後内服となっているので食事をしないと服用してはいけないと考えている患者さんもいらっしゃいます。そのような方には食事しなくても服用可能とアドバイスしてアドヒアランスを向上させましょう