2021/3/22 Takeda IBD 全国Webセミナー

潰瘍性大腸炎に対する“Treat to Target”の意義

慶應義塾大学医学部 内視鏡センター 教授 緒方 晴彦先生 講演

 

潰瘍性大腸炎の治療目標は内視鏡(大腸カメラ)で完全寛解(MES:0, UCEIS:0 or 1)です 症状がなくても少し炎症が残る(MES:1)患者さんに治療を強化するとその後の再燃が減少しました。難治例にはバイオマーカー(便中カルプロテクチン 血中LRG)を測定して上昇してきたら症状がなくても内視鏡検査などの画像診断を行い再燃していないか確認します。慶應大学では大腸カプセル内視鏡を利用して潰瘍性大腸炎の病状評価を行っています。粘膜の観察が不十分なのと直腸が観察できないのが欠点でしたが ヒマシ油30ml服用するなどの前処置の工夫で観察の精度が向上してきました。超拡大内視鏡検査により生検せずに病理検査と同じ評価ができたり AIを用いたEndoBRAIN-UCで粘膜の活動性の評価がより詳細にできるようになりそうです。潰瘍性大腸炎の治療はまずは5-ASAとステロイドの用いた標準治療で2/3の患者さんが良くなります。5-ASAは中等症以上には高用量で寛解導入し維持治療は1日1回投与でアドヒアランスの向上を図ります。経口ステロイドは炎症が左側より奥に広がっている患者さんに十分量投与し効果は1週間で判定します。1~2週間に2/3ずつ減量し約3ヶ月以内に終了します。必ず減量して中止します。ステロイド依存症は医師が作っていることを肝に銘じなければなりません。