2021/3/25 Takeda IBD 全国Webセミナー

炎症性腸疾患における感染症のリスクとワクチン接種 兵庫医科大学 渡辺 憲治先生

予防接種制度に関するUpdateとリスクの高い児への接種に関する注意点 国立成育医療研究センター 宮入 烈先生

 

上記の演題で両先生がレクチャーしてくれました。感染症のリスクがあるのはステロイドとイムラン、アザニン、抗TNFα抗体投与時には非典型的な結核が発症することがあります。サイトカイン療法を中止すると元の疾患が増悪することがあります(免疫再構築症候群) EBウイルスの初感染でEBウイルス関連白血球貪食症候群が発症することがあるのでイムラン投与前にEBウイルス 抗VCA IgGを測定しておくことが必要です。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)感染のリスクが増大しますが、ステラーラ エンタイビオは増大しません。ニューモシスチスカリニ肺炎は寛解導入後のリンパ球が減少(リンパ球<600)したときに発症しやすいです。ステロイド、プログラフ投与時には予防的にバクタを1日1錠などで投与します。

ワクチンの投与方法ですが生ワクチン:「ロタウイルス」 「BCG(結核)」 「MR(はしか、風疹)」 「水痘(水ぼうそう)」 「ムンプス(おたふくかぜ)」接種後の次に生ワクチンを接種するときは27日以上間隔を開けます。これ以外の制限はありません。新型コロナウィルス予防ワクチン接種の時は 他のワクチンの同時接種は行わず 次のワクチン接種まで13日以上間隔を開けます。潰瘍性大腸炎 クローン病症例には不活化ワクチン:「ヒブ」 「肺炎球菌」 「B型肝炎」 「ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ(四種混合)」 「日本脳炎」「インフルエンザ」 が代表的な不活化ワクチン、の接種は治療中も可能ですが生ワクチンの接種は時期を考慮しなければいけないことがあります。ステロイドは中止4週間後 イムランは中止3ヶ月後に生ワクチン接種可能です そのため治療開始前に可能なら 麻疹、風疹 水痘 流行性耳下腺炎の抗体価を測定し、時間があれば予防接種を相談するとよいでしょう。乳幼児期 幼児期の潰瘍性大腸炎 クローン病は原発性免疫不全症のことがあるので生ワクチン接種は避けるべきです。母親が出産直前までレミケード ヒュミラ シンポニーを使用していた場合は新生児のBCG接種は6ヶ月まで見合わせましょう。一方で腎移植後に生ワクチンの接種は可能です。