2021/3/30 Humira Internet Live Seminar
本邦のエビデンスから考える潰瘍性大腸炎の治療戦略
ひだ胃腸内視鏡クリニック 院長 樋田 信幸先生 講演
昨年9月にご開業された樋田先生がヒュミラのデータを基にその使用方法を解説してくれました。潰瘍性大腸炎は病態が多様な疾患であるためお薬を使用する時 病態 作用 安全性を考慮した使い分けが大切です。潰瘍性大腸炎でヒュミラとエンタイビオの効果を比較した試験結果をみると 評価項目を下痢 下血 血便 腹痛などの症状がすっかり良くなる:寛解として 投与開始1年後の寛解率で比較するとエンタイビオが良い成績でした。潰瘍性大腸炎治療で最も大切な同時にステロイドを止められる率を評価に加える(ステロイドフリー寛解)とヒュミラとエンタイビオで効果に差はなくむしろヒュミラの方が良い傾向でした。この治験に参加した患者さんの20%程度はレミケード(インフリキシマブ)で無効な方が混じっているのでこの治験の成績は生物学的製剤未使用例に対してどっちの薬剤の方が最初に使用するべきかということではありません。日本人のデータではヒュミラはだんだん効いてくるお薬ですが症状の軽度で体重が軽い方により効果があります。急激に病状が悪化した患者さんには効きにくいようです。ヒュミラは関節痛などの腸管外合併症を持った患者さんにも有効ですがエンタイビオは腸管外合併症には効果がないとされています。海外の文献では 潰瘍性大腸炎患者さんの13%に関節痛を合併していますがエンタイビオを投与するとそのうちの半数が改善します。しかし新たに17%の患者さんに関節痛が発症するとされています。またエンタイビオ投与中に口内炎 皮膚疾患(壊疽性膿皮症) 肝疾患(硬化性胆管炎)などが新たに発症するようでこれらの頻度は抗TNF-α抗体(レミケード ヒュミラ)より高いとされています。また実地臨床でみると発癌した患者さんに治療後に抗TNF-α抗体(レミケード ヒュミラ)またはエンタイビオを投与してその後の発がんを比較しても両者でかわりがなかったそうです。イムランは少し多いようです。