2021/3/4 Crohn’s Disease WEB Symposium

CDにおけるベトリズマブ(エンタイビオ)のベストユースを考える

 

上記の演題で九州を中心とした日本のIBDエキスパートが集まって討論会がありました。まず炎症性腸疾患(クローン病 潰瘍性大腸炎)の今日の診療の方法としてT2T strategyが盛んに議論されています。潰瘍性大腸炎の目標は入院 発がんの抑制、クローン病の治療目標は入院 手術の抑制です。これを達成するためには最初の目標は症状(下痢 下血 腹痛 血便など)の寛解、次がCRP, 便中カルプロテクチン、LRGなどのバイオマーカーの正常値化、最後が内視鏡検査での潰瘍の消失です。これを順番に達成していくことが潰瘍性大腸炎 クローン病の自然経過を変えていくことになります。この目標を達成できているか確認するために検査(モニタリング)をして達成できていなければ治療を変更する。これを繰り返していくことが大切です。特にクローン病は治療の開始の遅れが予想外 想定外の手術になることがあるので先手を打って検査 治療をしたほうがよいでしょう。内視鏡検査などの画像診断(大腸カメラ 小腸カメラ CT MRIなど)はすぐにはできませんのでバイオマーカー、薬物血中濃度(これは通常診療ではできません)のモニタリングが治療変更の参考になります。一般に生物学的製剤が未投与、発病してからの期間が短く 病気が重症でなければどの薬剤もよく効きます。実際の臨床ではそのような患者ばかりではありません。クローン病症例に対してエンタイビオを使用する場合は最初にキチンと寛解導入することが以後の寛解維持が長くできるかに関わってきます。そのためには投与初期にはステロイド イムラン エレンタール 白血球除去療法などを症例に応じて併用することが大切です。エンタイビオの良い点は小腸病変に投与した時に狭窄になりにくい点です。(ステラーラもそうです)