2021/4/15 第107回日本消化器病学会総会ランチョンセミナー

国内エビデンスを活かしたIBD治療の最適化:クローン病

上記内容で杏林大学医学部 消化器内科学 教授 久松 理一先生が講演してくれました。

クローン病治療においてレミケード ヒュミラが使用可能になり2000年以後腸管手術が減りました。また仕事をしている若い患者さんの労働生産性も改善されました。クローン病治療を上手にするには生物学的製剤(レミケード ヒュミラ ステラーラ エンタイビオ)の早期介入とタイトコントロールです。生物学的製剤はクローン病発症後2,3年以内に投与を開始したほうがより有効で 投与開始後は下痢 腹痛 発熱などの臨床症状の改善に加え 便カルプロテクチン(日本において2021/4月時点ではクローン病では保険未収載)、血中LRG、便潜血などのマーカーを定期的に測定してこれらが正常値になることを目標することが大切です。(これらのマーカーは内視鏡所見との相関が高く正常値なら粘膜治癒している可能性が高い)クローン病治療は薬物療法と栄養療法と外科治療をうまく組み合わせることが肝要で クローン病と診断した時と一度よくなってその後病状が悪化した時はいつも外科手術が必要な病態(狭窄 瘻孔 膿瘍)が出現していないか確認することが非常に大切です。栄養療法(エレンタール)を生物学製剤と併用するとその効果が長持ちします ステラーラ、エンタイビオはイムランを併用するメリットがあるかはまだはっきりしません。レミケードは併用したほうがよいです。ヒュミラは体重が重い患者には併用したほうがよく 寛解になって1年以上継続できたらイムランを中止できます。