2021/4/9 Stelara Web Seminar
一からわかる腸管免疫 ~潰瘍性大腸炎治療の分子標的薬を理解するために~
難治性潰瘍性大腸炎に対する治療戦略 ~ウステキヌマブ(ステラーラ)の位置付け~
上記の演題で基礎医学を東邦大学の松岡先生、臨床経験を東京慈恵医科大学病の猿田先生が講演してくれました。腸管免疫の講義は薬効の理解に大変重要ですが小生の理解が悪いために解釈が間違っていたらすみません。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)に効果がなくなってきた患者さんはステラーラに変更すると有効なことがありますが このような抗TNFα抗体2次無効の症例はIL-23 receptor陽性リンパ球が増加しているのでIL-12/IL-23の抗体であるステラーラが効果を発揮するのかもしれません。潰瘍性大腸炎の患者さんは60%が軽症 30%が中等症:このうちの半分は軽症に近い中等症なので全体の75%が基本治療(ペンタサ アサコール リアルダ サラゾピリン:5-ASA製剤、ステロイド)で治療可能です。ステロイドは十分量(中等症:経口30mg~40mg/日、重症:1mg/kg)を投与し 決して維持治療には用いず 必ず3ヶ月以内に終了します。また3週間以下 15mg/日以下の投与は効果ありません。ステロイド依存症でも完全にステロイドが終了できて短期間に再燃する患者さんには次回再燃したときにイムラン併用がよいでしょう。ステロイドが完全に離脱しないうちに再燃する患者さんには症状が激しい時は分子標的薬の投与が必要でしょう。日本人の潰瘍性大腸炎患者さんに対するステラーラの効果は治験のデータでは投与後8週で70%の患者さんで直腸出血がなくなり、50%で排便回数が3回以下になります。治療判定の時期は16週後(皮下注になって2回投与後)がよく 1年間投与継続できた患者さんは効果が長続きします。ステラーラの好適症例は抗TNFα抗体2次無効例ですがあまり症状がひどくならないうちに投与したほうがよいでしょう。エンタイビオで効果がない患者さんもよい適応です。症状が重くて治療を急ぐ症例は抗TNFα抗体(インフリキシマブ)を投与し そこまで重症でない症例はステラーラ エンタイビオでもよいでしょう。利便性はステラーラがよいです。