2021/5/16 日本消化器内視鏡学会ランチョンセミナー

クローン病の内視鏡評価とモニタリング

実臨床におけるクローン病T2T

上記の演題で東京医科歯科大学の竹中先生と東京女子医科大学の大森先生が講演してくれました。

 

クローン病患者さんの70%には小腸病変があり これ自体で入院、手術 予後不良のリスクになります。小腸病変の特徴は回腸末端に病変がなくてもより深部に病変がある場合があることです。臨床寛解でCRP:陰性の場合でも小腸に潰瘍が全くないのは25% アフタ30% 潰瘍45%!です。小腸病変は臨床症状(CDAI)やCRPとの相関が低いです。小腸病変の治療目標は①臨床寛解(腹痛 下痢 発熱などの症状がない)②内視鏡検査で潰瘍がない(粘膜治癒)③CT, MRI 腹部エコーなどで腸管の壁肥厚等の所見がない(cross-sectional imaging:寛解)です。LRGはcut-off値:16.3ですがより厳密には13.4のほうがよく CRP<0.3でもLRG高値ならば大腸に潰瘍がなくても小腸に潰瘍がある可能性があります。LRGの良い点はステロイドやイムランを服用していても測定値に影響はなく、大腸病変:粘膜治癒でも小腸病変に精度が高く反応します。MREと小腸バルーン内視鏡検査は検査の精度は同等で MREで小腸に潰瘍を認めた患者さんは再燃 入院 手術のリスクが高く治療介入が必要かも知れません。但しMREは狭窄の評価ができません。

小腸カプセル内視鏡検査(SBCE)においてモニタリングのスコアとしてLEWISスコアとCECDAIがあります、LEWISスコアは狭窄を反映しやすく、>350だと再燃しやすいです。CECDAIは炎症を反映しやすいです。SBCEを行う前にはパテンシーカプセルで開通性の評価を行うことは必須ですが腸管拡張はある場合は行ってはいけません。小腸カプセル内視鏡検査での滞留の頻度はクローン病の5%、パテンシーカプセル後は2%です。(パテンシーカプセルで評価しても滞留があり得ます!)SBCEで狭窄があった場合 次の検査は困難ですので新たに治療介入したほうがよいでしょう。術後に小腸カプセル内視鏡検査を行い必要な場合は治療を加えるとその後の経過が向上します。微小病変の検出=early Crohnの診断にも小腸カプセル内視鏡検査は役立ちます