2021/6/11 日本消化器病学会 九州支部例会 イブニングセミナー

生物学的製剤の治療効果から潰瘍性大腸炎病態を紐解く/T2Tによる潰瘍性大腸炎免疫修飾的治療の最適化

 

以上の演題で札幌医科大学の仲瀬先生 兵庫医科大学の渡辺先生が講演してくれました。潰瘍性大腸炎はマルチサイトカインの病態で ステラーラはIL12/23をブロックすることによりマルチサイトカインを抑制して潰瘍性大腸炎の病態を制御します。潰瘍性大腸炎、クローン病治療を最大限に生かすためのポイント ①多数例による治験データを熟知する ②既存治療を充分行う ③モニタリングをキチンと行う ④最も有効な薬剤を最初に投与し しっかり使い切る ⑤それぞれの患者さんの社会的立場 個人的な状況を尊重する ⑥患者さんと一緒に病気に対処する、特にクローン病では病状悪化→画像変化→バイオマーカー→症状と変化していくので 手術を回避するには後手に回らず先手を打って治療したほうがよいでしょう。潰瘍性大腸炎 クローン病治療に使用される分子標的薬がより有効な条件で共通するのは 分子標的薬未投与(Bio-naïve)、短い罹病期間、低い疾患活動性 です。エンタイビオは症状が強くない症例に適し 投与する患者さんをうまく選べば60%ぐらいに有効です。効果減弱は30%で 副作用は少ないですが関節痛が出る場合もあります。ゼルヤンツは他の治療が効かない症例でも60%に有効で 2番目 3番目に使用してもあまり効果が落ちません。すぐに効果が実感できる薬剤です。 効果減弱は40%で 副作用がおおいので維持治療では半量の10㎎に減量しますが減量すると約50%が再燃します 再増量すると85%でまた効果が出ます。Bio-naïveであれば維持は10㎎、他の治療が無効な症例には20㎎で維持します。ステラーラは効果の切れはまあまあで関節痛などの腸管外合併症にも有効、 副作用も少なく 「高い寛解導入力とバランスのとれた安全性」を併せ持った薬剤です。Bio-naïveであれば維持は12週毎、他の治療が無効な症例には8週毎で維持します。投与後最初は完全によくならなくても少しでも効果があれば 投与を継続するとだんだん効いてくる患者さんもいます。