2021/6/14 Ulcerative Colitis Web Seminar

難治性潰瘍性大腸炎 内科治療の最前線

~ステラーラを中心にoption治療の最適化を考える~

 

大阪医科薬科大学の中村 志郎先生が上記の演題で講演してくれました。潰瘍性大腸炎治療の目標は粘膜治癒ですが臨床的にはステロイドフリー寛解の維持です。潰瘍性大腸炎患者さんにステロイドを投与するとそのうちの30%-40%の患者さんはステロイドが効かなくなります(ステロイド難治症例)。ステロイド難治症例の80%はステロイド依存症、20%がステロイド抵抗例です。ステロイド抵抗例はレミケードやプログラフで治療します。ステロイド依存症例は チオプリン(イムラン アザニン ロイケリン)で加療しますが チオプリンは副作用が多くイムランで治療すると全体の40%の患者さんは服用できません。保険適応外ですがロイケリンを使用しても15%の方は服用できません。チオプリンを6-TGN濃度を基準にして最適に投与すると長期のステロイドフリー寛解は15~30%程度です(投与の最適化に半年から1年程度かかるのが難点です)。抗TNF-α抗体は短期の効果は レミケード>シンポニー>ヒュミラですが 維持ではレミケード=シンポニー、ヒュミラは段々成績が向上してきます。一度ステロイドフリー寛解を達成した後の維持率はレミケード ヒュミラ:60% シンポニー:70%で 最初からみると全体の30%の患者さんが長期にステロイドフリー寛解を維持できます。抗TNF-α抗体は自然免疫を抑えた結果 獲得免疫も抑えます。ステラーラは自然免疫(IL-12)獲得免疫(IL-23)の両方を制御します。投与後2週ぐらいから下痢 腹痛 血便などの症状は改善しますが寛解になるのには時間がかかります。治験の成績では2年後のステロイドフリー寛解は40%程度です。ステラーラは利便性、安全性にすぐれ 長期のステロイドフリー寛解率が高くトータルバランスに秀でたお薬です