2021/6/21 Biologics Clinical Practice Web Seminar

クローン病における小腸病変の課題と治療戦略を検討する

名古屋大学の中村 正直先生、佐賀大学の江崎 幹宏先生 東京医科歯科大学の藤井俊充先生が討論してくれました。

 

クローン病で小腸病変があるとバイオ製剤を使用する前は発症後10年で60%、20年で80%の患者さんが手術を受けていました。クローン病全体では2000年以前は約50%の患者さんが手術に至っていましたがバイオ製剤使用可能になった2000年以後は25%に減少しています。しかしながらクローン病の70%程度の方は小腸病変があるため初回手術率は減っていません。クローン病小腸病変は腹痛 下痢などの症状が出にくく 自覚症状が出たときは手術になることがあります(狭窄 瘻孔を形成していることが多いので)小腸病変のモニタリングには血液検査ではCRP Hb, アルブミン LRG 画像検査では小腸カプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡、MREなどを用います。これらの検査で悪化が疑われたら無症状でも小腸病変の場合は追加治療を考慮します。大腸病変や肛門病変には抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ)が有効で 小腸 狭窄病変があるときはステラーラが有効です。クローン病の治療目標は粘膜治癒だけでなくtransmural healing(粘膜全層の炎症の消失:MREやCTで評価)も大切です。