2021/6/28 Takeda IBD 全国Web Seminar

東京慈恵医会医科大学の猿田先生が司会をして大阪医科大学の中村先生が潰瘍性大腸炎におけるエンタイビオの使用方法を説明してくれました

潰瘍性大腸炎の患者さんにステロイドを投与すると抵抗例 依存例になるのが全体の約40%で そのうちの80%がステロイド依存例です。ステロイド依存例には基本的にはチオプリン(イムラン アザニン)を投与しますが50%のかたは何らかの副作用で使用できません。海外では外来と入院で重症度の評価方法がことなり 外来ではMayo score, 入院ではTreulove & Wittsの評価を用いています。そのため治験(外来患者が対象)の中等症~重症は 日本の厚生労働省難病班会議の重症度では軽症~中等症に当たります。このようにstudyにより患者対象や重症度が異なるので お薬の適応を考える時には 治験データ リアルワールドデータ 市販後調査などをよく吟味しなければなりません。

潰瘍性大腸炎に対してのエンタイビオの好適条件は 副作用が懸念される患者さん 他の分子標的薬を使用する前 ステロイド減量中10mg以下に減った時の再燃 内視鏡ではびらん程度 腸管合併症がない 活動性の低い などです 投与後早期に反応すると以後も経過はよく、重症で CRPが高く PSLを高用量使用している症例には効果は期待できません。効果判定時期は投与後14週~6ヶ月後でだんだん寛解症例が増えてきます。5-ASA 不耐症例やタクロリムス寛解導入後の維持治療にも使用できます。抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)は自然免疫を抑制するので効果にばらつきがありますが エンタイビオは獲得免疫を抑制するのでまんべんなく効果があります。