2021/7/10 第18回 IBD Club Jr. Kyusyu

潰瘍性大腸炎関連大腸癌に対するサーベイランス

福岡大学筑紫病院 消化器内科 久部 高司 先生

 

福大筑紫病院の新進気鋭の久部先生がレクチャーしてくれました。潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌を発見するための大腸内視鏡検査の間隔; 高リスク:1年 低リスク:5年 どちらでもない:3年とリスクによって異なります。(海外のガイドライン)高リスクは 罹患年数(8年以上)罹患範囲の広さ(全大腸型>左側型)大腸癌の家族歴 若年発症 強度の炎症 管腔狭小化 炎症性ポリープなどです。以前は潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌の累積発症率は30年で20%と報告されていましたが最近の報告では30年で5~10%と低下してきています。内視鏡検査の精度が向上して早期病変(dysplasia 特にlow grade dysplasia)を発見できることができるようになったためと思われます。発症部位は下行結腸:9%、S状結腸:20%、直腸:51%と左側大腸で80%を占めます。直腸の観察には白色光だけでなく色素散布や特殊光などを併用したほうがよいでしょう。また反転しての観察も必要です。注意すべき内視鏡所見は区域性の発赤 退色、不整な顆粒状粘膜、狭小化などです。潰瘍性大腸炎に関連した大腸癌の5年生存率:74% 10年:72%ですが部分切除は大腸全摘に比較すると予後がよくありません。手術で直腸を残した場合は残した直腸の経過観察も必要です。早期発見には寛解維持しているときのサーベイランス(症状がなくても癌の早期発見のために大腸カメラ)が大切ですが白色光での観察では見えていない病変が多数存在することを念頭において検査することが肝要です。