2021/7/6 Takeda IBD 全国Webセミナー

潰瘍性大腸炎治療における最新のトピックス -ベドリズマブ(エンタイビオ)の位置づけを含めて-

上記の演題で 岩手医科大学の松本先生が司会をして 岡山大学の平岡 佐規子先生が講演してくれました。

 

潰瘍性大腸炎のモニタリングには FCP:便中カルプロテクチン、FIT:便潜血、CRP LRGなどを使用します。重症のときはCRP、臨床寛解の維持にはFCP 活動期から寛解期の移行期にはLRGが適しています。潰瘍性大腸炎症例の中には炎症が強いのにCRP:陰性のかたがいるのでそのような場合にLRGで経過観察します。潰瘍性大腸炎のcut-off値:<12です。潰瘍性大腸炎治療において分子標的薬の中でエンタイビオを最初に投与したらよい患者さんは 生物学的製剤未使用例、ステロイド依存症で減量中におだやかに再燃した症例、イムランが副作用で使用できない症例、イムランで寛解維持できない症例です。エンタイビオは粘血便 血便 腹痛 下痢などの臨床症状の改善に対する即効性はあまりありません。システミックレビューによれば効果発現(有効)までの期間はステロイド:2週、レミケード:5週、ヒュミラ:6週、ゼルヤンツ:6週、エンタイビオ:9週、イムラン:11週です。便中カルプロテクチンやLRGを利用して ステロイド抵抗例や慢性持続型でイムラン不応例に対して病状が酷くなる前にエンタイビオを投与するとよいでしょう。

ワクチン接種に関して インフルエンザワクチン接種では イムラン 抗TNFα抗体(レミケード ヒュミラ シンポニー)使用中の患者さん 高齢者は接種後抗体価が健常人ほど上昇しません。新型コロナワクチン予防接種においても抗TNFα抗体よりエンタイビオのほうが抗体価は上昇します。但し経口ワクチンは投与してもワクチンの効果がでません。