2021/7/7 Ustekinumab UC Web Seminar

~開業医から診た潰瘍性大腸炎治療方針と現状~

ひだ胃腸内視鏡クリニック 院長 樋田 信幸 先生 講演

 

京都の小畑内科クリニックの小畑先生が司会をして樋田先生が講演してくれました。クロー病はDysbiosis(細菌叢のアンバランス:腸内細菌叢のバランスが乱れたことにより様々な不快な症状が出現している状態)の関与が潰瘍性大腸炎より強く、自然免疫 TNFαが病態の主体です。ですので抗TNFα抗体(レミケード、ヒュミラ)により一連の免疫反応をストップできます。一方 潰瘍性大腸炎は多彩なサイトカインプロフィールがあります。IL-12/23は直接的な細胞障害はありませんが多彩なサイトカインに関与しています。ステラーラは治験のデータでは16週で85%に有効です。実臨床では2番目に使用しても80%、3番目に使用しても30~50%有効です。潰瘍性大腸炎治療におけるステラーラのメリットは有効性 安全性 利便性です。

ワクチンによる予防接種に関して 最も抗体価が上昇しないのはステロイドです。エンタイビオは健常人とほぼ変わりません。新型コロナ予防ワクチンについて 抗TNFα抗体(レミケード シンポニー ヒュミラ)は抗体価が1回では上昇しにくいですが2回接種すると予防に十分なぐらい上昇します。いずれにしても抗TNFα抗体 イムラン投与中の患者さんは抗体価が低くなりがちなので予防接種後も感染予防をしっかりしたほうがよいでしょう。また新型コロナ予防ワクチン接種で腸炎がおこることがまれにあるそうです。

文献によると生ワクチン接種前の休薬期間 ステロイド:1か月、レミケード、ヒュミラ シンポニー ステラーラ プラグラフ:3か月となっています。。エンタイビオは休薬期間がありません。生ワクチン接種後3週間以上経過すると免疫抑制治療が再開できます。実際は生ワクチンの接種後2週程度経過すればバイオ製剤投与は支障なくおこなえるようです。