2021/9/1 Ulcerative colitis Expert Web Meeting

難治性潰瘍性大腸炎 内科治療の最前線

~ステラーラを中心にBio製剤の選択を再考する~

~潰瘍性大腸炎治療の長期寛解維持の実現に必要な要素とは~

 

上記の演題で佐賀大学の江崎先生、大阪医科薬科大学の中村先生 浜松医科大学の杉本先生などが討論してくれました。

潰瘍性大腸炎治療の目標は長期のステロイドフリー寛解です。再燃は就業継続の支障となります。長期のステロイドフリー寛解を達成するにはイムラン、ロイケリン(保険適応外)を上手に使用することが必要です。ステロイド難治症例の80%はステロイド依存症で チオプリン(イムラン アザニン ロイケリン)で加療しますが 汎血球減少、肝機能障害 消化器障害 脱毛などの副作用があり 服用できない方が40%程度います。ロイケリンを使用しても全体の15%程度は服用できません。イムラン投与で最も深刻な副作用は 急激な汎血球減少+全脱毛です。これは事前にNUDT15を測定すれば予測予防できます。 Arg/Argならばイムラン100mg/日以上の投与も可能です。Arg/Cysがイムラン25mg ロイケリン10~15mg程度の投与がよいでしょう。イムラン投与によりステロイド依存症患者さんの半数がステロイドを中止でき その後は80%ぐらいの症例で維持できます。イムラン無効は全体の50%程度です。イムランをより効かせるにはWBC:3000~4000, MCV>100を目指します。

ステラーラを潰瘍性大腸炎に対し投与した治験の成績では 短期の寛解導入率はあまりよくありませんが有効率は高く、1年後にステロイドを中止し寛解になった患者さんの割合はBio製剤のなかで最も成績がよいです。 バイオ製剤多剤投与例にも効果があり安全で利便性の高い薬剤です。難治例には重症になる前に早めに投与し 前の治療で改善したが寛解になっていない症例などがよい適応です。ステロイド減量中の再燃の時エンタイビオはステロイド増量しますがステラーラは増量しなくて減量継続でよいでしょう。ステラーラ投与開始時にイムラン併用の必要はなく もともと投与していた方は寛解になったら中止可能です。