2021/9/30 ヒュミラInternet Live Seminar
どんどん進んでいるクローン病内科治療
~ヒュミラの位置付けと長期治療戦略を再確認する~
大堀IBDクリニック 院長 東京医科大学病院 消化器内科 兼任教授 吉村 直樹 先生が上記の演題で講演してくれました。
クローン病の治療目標はステロイドフリー寛解と粘膜治癒による手術回避です。クローン病患者さん全体の30%~40%にバイオ製剤の投与が必要と推定されます(潰瘍性大腸炎は15%程度)。日本人におけるヒュミラのクローン病に対する治療成績は バイオ未使用例での8週の有効率:95%、5年継続率:60% 10年も約60%で5年以後は継続率の低下はあまりありません。発症5年以内に投与開始したほうが継続率は上昇します。2年以内でトップダウンの治療がさらに有効です。小腸病変より大腸病変、バイオ未使用例のほうが効果は高く、肛門病変にも有効です。2次無効時には増量すると投与継続できますが臨床症状がなくてもCRPやLRGの上昇があればすぐに増量投与したほうがその後の予後改善に役立ちます。 全体としてイムランの併用は有効性をみいだせませんでしたが 女性、体重が重い患者さんはヒュミラのトラフレベルが低下しやすのでイムランの併用を考慮します。また炎症が強いときもイムランを併用したほうがよいでしょう。イムランを併用すると体重が軽い患者さんほど副作用が増加します。発症から時間があまり経っていない、瘻孔 狭窄のない early Crohnはヒュミラのみで治療可能です。それ以外の複雑な病態になった場合はイムランと併用して加療したほうがよいです。長い罹病期間 喫煙 広範囲の小腸病変 多発狭窄はヒュミラでも効果が低下します。ヒュミラは自己注射できるので時間的拘束が少なく自己のライフスタイルに合わせた治療が可能です。ヒュミラペンはさらに扱いが簡単でアドヒアランスの向上も期待できます