2022/1/17 ゼルヤンツ潰瘍性大腸炎適正使用Web講演会from筑波

難治性潰瘍性大腸炎内科治療の現状と問題点

~改めて実臨床におけるゼルヤンツの位置付けを考える~

上記の演題で筑波大学 消化器内科 教授 土屋 揮一郎先生がご司会をされ、大阪医科薬科大学 第二内科 専門教授 中村 志郎先生がご講演されました。

 

潰瘍性大腸炎の難治例は全体の30%程度でそのうちの80%がステロイド依存例です。ステロイド依存はどのお薬も効きやすい病態なので 病態が変化する前、重症化する前に治療します。ゼルヤンツはJAK-STAT系を抑制して薬効を発揮しますがこの経路は ステロイド(はNF-κβ)、TNF-αと異なります。ゼルヤンツは寛解導入のさい1日20㎎(4錠)服用しますが半年寛解維持して10㎎(2錠)に減量すると 約30%再燃します。20㎎に戻すと約50%に有効でした。減量を考える時は 臨床寛解になって半年以後に大腸カメラで完全粘膜治癒(MES:0)を達成確認した後の方がよいでしょう。

ゼルヤンツはpMayo:6, CRP<1ぐらいの外来中等症症例で 中にはだんだん効果が出てくる方もいらっしゃいます。外来で30㎎~40㎎投与しても効果がないステロイド抵抗例にも有効なことがあります。入院した重症例(ステロイド1㎎/kg投与無効例)にも有効(80%)になります。副作用は海外データですが65歳以上 喫煙者において 悪性腫瘍や心血管イベントが 抗TNF-α抗体使用患者に比べてリスクが1.4倍でした

アメリカではゼルヤンツは抗TNF-α抗体不応例に使用することになっています。

日本では血栓の副作用は多くなく 肝機能障害 白血球減少も多くありません。しかし帯状疱疹は増加します。